雀魂プレイヤーの集い

雀魂非公式不完全未攻略無読本その1「リーチは諸刃の剣」

 全世界7億人の麻雀ファン、および70億人の潜在的麻雀ファンの皆様こんにちは。「勝つための現代麻雀技術論」の新刊が出る気配が無いので戻ってまいりました。

 前回までは基本的な内容を取り上げましたが、今回からは「応用的かつ汎用的」を心がけて、もっと強くなるための麻雀講座を書ければと思っております。麻雀本だとどうしても、「汎用的だが応用性に欠ける」もしくは「応用的だが汎用性に欠ける」記述が増えてしまいますからね。

 最近の麻雀本で勉強された方であれば、「先制リーチは強い」ことは御承知かと思いますが、統計データや計算過程を踏まえたうえで、どの程度強いかを解説されたものを見たことはないという方も多いかと思います。データの一部は麻雀本で確認することができますが、実戦は生き物でありますから、データの数値がそのまま成り立つとは限りません。ですから、「このような前提をおいて計算するとどのような数値になるのか。」も押さえておくことも大事です。

 中盤の先制リャンメンリーチの和了率が60%くらいという話を以前しましたが、これは、ロン:ツモの比率が1:1(ツモ率50%)。つまり、こちらの先制リーチに対して、3人のうち1人は危険牌を切りながら和了を目指し、残りの2人は完全に降りるようなケースを仮定しています。

 ちなみに、『統計学のマージャン戦術』によると、同様のケースの和了率は57%、ツモ率56%。仮定と大きく値がずれていないので、「仮定を置いた計算結果」も十分有用であることが分かります。同時に、「天鳳鳳凰卓は先制リーチに降りる人が多く、降りの精度も高い」ことがうかがえますね。データと計算過程を両方押さえていれば、「特定のフィールドではどのような結果になるか」まで検証することができるようになるので、研究内容をより有意義に活用することができるのです。

 では、先制リャンメンリーチに対して、3人が完璧に降りるとすれば和了率はどの程度になるでしょうか。相手が一切和了しないのですから、データを用いずとも計算結果で求めることが可能。「ツモアガリ確率計算機」で調べてみると、残りツモ9回でおよそ50%になります。

 60%のところが50%。思ったほど和了率が下がっていないのは、誰も和了を目指さないので流局まで牌をツモれることが保証されているため。しかもツモ率100%になるので、和了時は必ずメンゼンツモの1翻がつくようになります。

 例えばダマ4翻(ロンで8000点)の手を上記の条件でリーチすると、和了率50%、和了時はリーチとツモがついて6翻に届き12000点(今回は倍満以上になるケースは考慮しない)。(和了率)×(和了時収支)の値を「ポイント」とすると6000ポイントになります。

 では、ダマにした場合の「ポイント」はどの程度になるでしょうか。

 一昔前の研究では、ダマの場合のロン:ツモの比率を3:1(ツモ率25%)とされていました。この仮定だとダマ和了率はおよそ80%になります。

 しかし、リャンメン待ちということは待ちは数牌。麻雀には数牌と字牌があり、数牌と字牌なら字牌の方が場に切られやすいですから、ダマテンが警戒されていないとしてももう少しツモの比率が高めになりそうなものです。また、ダマにすることでリーチしていれば降りていた他家の和了になる可能性もあります。

 そのことを踏まえたうえで、その後の研究ではツモ割合30%と仮定するのが適正とされました。この仮定だと和了率はおよそ75%になります。(『統計学のマージャン戦術』では同様の条件で和了率72%、ツモ割合29%)

 和了率75%、打点8000点なので6000ポイント。「ポイント」ではリーチして全員が降りた場合と等しくなりましたが、相手が降りれば放銃やツモられで失点することがなく、和了できなかったとしても聴牌料があるのですから、リーチした方が有利と考えられます。

 和了率60%(ツモ率50%)の場合、ツモなら12000点、ロンでも一発か裏で12000点になるので平均打点は11000点くらいで6600ポイント。放銃、ツモられの可能性はダマより低いので、いずれにせよダマよりリーチした方がよいと言えそうです。(『統計学のマージャン戦術』でも同様の条件で、200点ほどリーチがダマより局収支が高い。)

 しかし、それならダマ満貫でも先制リャンメンならいつでもリーチかと言われればそうではありません。何故なら、麻雀は持ち点の大小よりも、最終的な順位が戦績に大きな影響を与えるためです。

 オーラス和了できたら1位、和了できずに流局すると2位。2位から1位になると40000点の順位点がつくルール(25000点30000返し、ウマ10−30)でメンゼン役有りリャンメン聴牌。先述の条件でダマでいいものをうっかりリーチしてしまうと、リーチ時ツモ率50%の場合和了率が15%ダウン。他家の動向次第では20%以上落ちることになります。

 20%の確率で40000点を取り損ねるとすると失点は8000ポイント。8000点の和了牌をうっかり見逃してしまっても、まだ和了できるかもしれません。100%8000点で放銃する牌をうっかり切ってしまったとしても、切らなくてもツモられて失点していたかもしれません。つまりこの場合の「うっかりリーチ」は、「東1局で誰でも分かるレベルの酷いミスをやらしかしてしまう」よりもずっと酷いことになってしまうのです。

 これこそが、昨今あれだけ「先制リーチは強い」と言われているにも関わらず、「上手い人が必ずしもリーチが多いわけではない」理由ではないでしょうか。ある程度麻雀に慣れてくると致命的なミスは自然に減ります。しかしその影響で、「実はリーチした方が微有利」のケースでもリーチを控えがちになってしまうのです。

 上手い人がリーチするかどうかで意見が分かれるケースのほとんどで「リーチ」と回答してきた私でさえ、「あそこでリーチしないのは温かった」と反省することが多々あります。「何だかんだでやはりリーチは強い。されどリーチは諸刃の剣である。」リーチをよく打つ人もあまり打たない人も、このことを再確認しておく必要があるのではないでしょうか。

 

 

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